解法暗記で数学の成績は上がるのか?
結論
上がります。実行しさえすれば、平均点を少し上回るところまでは必ずいきます。
ただし、その後さらにレベルを上げるためには別の方法も取り入れる必要があると考えます。
いわゆる暗記数学とは
私が学生の頃(昭和末期)、数学の力を上げるためには、
わからない問題を何日もかけて考えるとよい、といわれていました。
考えて、考えて、考え抜いて、ある日突然解法がひらめくのを待つのです。
なるほど、そういうものかということで、中学生~高校2年生くらいまでは難問についてそのようにしていました。
その後、和田秀樹さんが有名ですが、いわゆる暗記数学という考え方が紹介されるようになりました。
簡単にまとめてしまうと表現上ごかいをまねくこともあるのですが、あえてまとめると、基本的な問題の解法を理解した上で覚えていくという学習法です。
ある程度のレベルまでの問題の解法は難問を考えるための材料としてひたすら頭に入れていき、難問はその頭の中の材料を試行錯誤して組み合わせることによって解こうとするものです。
推奨したい学習ステップ
私は指導現場では、生徒に次のような段階で進んでいくことを推奨しています。
- その単元の基本事項を理解する
- 基本問題の解き方を理解する
- ヒントを見ずに自力で正解する
- 複数の問題に共通した考え方を言語化する
- その言語化した考え方を別の問題に当てはめて使ってみる
適した学習方法は目的による
生徒ごとに数学を学習する目的が異なります。
- 数学を学ぶこと自体が楽しい(半分趣味みたいなもの)
- 試験に出るから仕方なく取り組む
これら目的によって、適した学習方法は変わると思うのです。
前者はひたすら考え抜く方法が向いているのではないでしょうか。
といいますか、半分趣味みたいなものなのですから
好きなようにすればいいのです。趣味に私が口を挟む必要はないのです。
指導現場で実感することですが、大半の生徒が試験に出るから仕方なく取り組むのではないでしょか。
この場合は、効率重視でなるべく手間と期間をかけずに成果を出していくことが求められます。気が進まないことを長期間し続けることは苦しいですからね。
こういう生徒に「ひたすら考えろ。そのうちわかる。」などといったところで、聞く耳を持たないのです。
「そのうちって、いつだよ。」ってなもんです。
考えるためは材料が必要
一口に考えるといいますが、少なくとも試験問題の解き方を考えるという場面に限定すれば、私は生徒に伝えています。
「考えるとは、知っている基本問題の解き方をどう組み合わせればよいかを試行錯誤してみること。」
これは、基本問題の解き方はすでに身につけていることが前提です。
ここでいう身につけているとは、単に知っている、覚えているというだけではなく、その解き方の流れをいつでも頭から取り出せて使える状態でいることをいいます。
つまり、解き方を考えるためには材料が必要だということです。
身につけている解き方の流れを材料として、それを加工することが考えるということだと伝えています。
解法暗記が有効であるタイミング
そうであるならば、解法暗記は基本問題の解き方を理解して覚える段階ではたいへん有効なものであると考えます。
いまさらですが、ここでいう基本問題とは、どの問題集にも載ってるレベルの問題のことをいいます。
具体的には、教科書傍用問題集やチャート式の一部など、
各単元の初歩的なところを問う問題のことをいいます。
どの学校でも、どの塾でも「ここが大事」といわれるような問題ということです。誰もが通るべき道ということもできるでしょう。
これらが身についた後にさらに学力レベルを上げるには、
いわゆる応用問題を演習することになります。
もう、この段階にきたら、単に解法を覚えていくという取り組み方はお薦めしません。
- 考える材料をそろえる段階
- 手持ちの材料を加工する技術を磨く段階
では、そのために有効な方法は異なると考えています。
前者の段階では、解法暗記は効率的です。
後者の段階では、試行錯誤してみることが有効です。いつ芽が出るのかが事前にわからないのが残念なんですけどね。
だからこそ、受験生には、遅くとも夏休み終了時点では
基本問題の解き方がほぼ全て身についたと自信を持っていえる状態を目指して計画してほしいのです。