基礎学力とは,考え方の型
指導現場で重視している3点のうち,
3点目は,基礎学力をつけることです。
基礎や基本が大切であり,それを身につけようとは誰もがしているはずです。
どんな塾でも,基本なんかどうでもよい,
という講師はほぼいないはずです。
・・・と思っていたのですが,
どうもそうでもないらしい,
としか考えられない事例に当たることがあります。
つまり,
- 目先の問題さえ解ければ
- とにかくおぼえさせておけば
- 今週の塾のカリキュラムがこなせさえすれば
それ以外のことは,どうでもいいのだと言われているようです。
私は,真逆の方針です。
- カリキュラムに間に合わなくても
- すぐには理解できなくても
- 基本問題が解けなくても
それができない原因を見つけ出し,
できない原因を解消することで前に進めていく,
という方法をとっています。
もちろん,
- 1月から請け負って2月1日の受験に間に合わせたい
- 中間試験が悪かったので,期末試験は平均点くらいは取りたい
など,短い期間でなんとかしたいと
始めからわかっている要望に対しては,
まずは臨機応変に対応します。
ただ,それだけでは,例えば
- 偏差値50から70へあげたい
- クラスで最下位から最上位になりたい
- 合格可能性20%未満から80%以上にしたい
など,大きくポジションを変えたいという要望に私は応えることができません。
それを望むなら,抜けているはずの基本を一通り身につける段階を経てから
でないと,実行することは難しいと思うのです。
では,いまさらですが,
基本,基礎ってなんでしょうか?
私は,次のような意味で使っています。それは,
「その単元でよく使う考え方の型を文章化したもの」
ということです。
抽象的でよくわからないですね。
例えば,こういうことです。
いわゆる旅人算の問題です。
1200m離れたC駅とD駅があり,
2駅は一本の道路で結ばれています。
AさんはC駅から,BさんはD駅から
それぞれ同時に出発し,
AさんはD駅へ毎分70m,
BさんはC駅へ毎分50mの速さで向かいます。
AさんとBさんは出発してから何分後に出会いますか。
正解は,
1200 m ÷ (70 m/分 + 50 m/分) = 10 分
です。
この問題に対し,
「とにかく,離れている距離を速さの和で割って出会う時間を求めるんだ。覚えておきなさい。」
という指導方法もあれば,
まず,
「2人が出発してから出会うまでに進む距離の和が1200 mになると出会う」
という表現を基本例文として,
これが成り立つことを図なども使って理解した上で,
納得感を持って上記の式が立てられる
ための手伝いをする,という指導方法もあります。
私が取っている立場は,後者だということです。
「2人が出会う」とは,「2人が進んだ距離の和がある距離になること」であると,
問題文を読み替えていえるようになると,
- 1200mある池の周りを2人が向かい合って進む
- 長方形ABCDの頂点Aから,2点が同時に出発し,それぞれ反対向きに回る
という問題が同じ問題に見えてくるのです。
今の例は旅人算という速さの単元の問題でしたが,
単元ごとにこうした問題文読み替えの方法(基本例文)がありますので,
それを理解していえるように訓練することが,
応用問題まで自力で解けるようになるために役立つと確信しています。
今日も,そのお手伝いに行ってきます。